あなたが中国人でも、中国に財産があったとしても、 日本に住所があれば、全財産に日本の相続税がかかります

日本では、父親が死亡すると(被相続人と呼びます)、財産をもらった妻や子供(相続人と呼びます)に対して、相続税がかかります。そして、国内にある財産には相続税がかかるのは当然ですが、日本国外のすべての財産も合算して、相続税を計算するのです。
その財産が、タックスヘイブンと呼ばれるケイマン諸島、相続税の制度がない国にあったとしても、まったく関係ありません。日本国外の財産だからと言って、優遇措置があるわけでもなく、相続が発生したときに、日本円に換算されて、相続税がかかるのです。
日本の相続税がかかるかどうかの判定は、相続財産がどこにあるかではなく、被相続人と相続人が、どこに住んでいるかで、決定されるのです。

それでは、中国人が日本進出して、日本に住んでいたり、住んでいたことがある場合で、相続が発生したら、その財産をもらった妻や子供に、相続税がかかるのでしょうか?

相続人の状況

この表から、日本進出した父親が死亡したとき、その国籍や日本における住所とは、まったく関係がなく、妻や子供などの相続人の住所だけで、相続税がかかる財産の範囲が決まることが分かります。
なお、この表では、相続人である中国人の妻や子供に日本国籍があるにも関わらず、中国などの日本国外に住所があるケースは載せていません。

では、この表を見て、あなたが、相続人であり、将来、日本の相続税がかかると分かったら、どうすればよいと思いますか?
制限納税義務者であれば、そもそも、日本に住所がないので、父親の財産は中国などに移動させていると予想されます。父親が日本進出していたとしても、妻や子供が、日本国外に住んでいるならば、その生活のために、仕送りするはずです。
その中で、日本国外に持ち出すことができない、建物や土地のような不動産や日本国債は、相続税がかかることを覚悟しなければなりません。
ただ、日本の相続税は累進課税であり、相続財産の金額が大きくならないと、税率は高くなりません。事前に相続税を計算し、相続税率が高くなる場合には、不動産や日本国債を売却して、そのお金を日本国外に持ち出せばよいだけです。

一方、あなたが相続人であり、日本国内に住所がある場合には、もう一度、確認ですが、被相続人である父親の国籍や住所は問わず、全世界の財産が相続税の対象になってしまうのです。
そのため、財産を日本国外に持ち出しても、節税にはなりません。
あなたが、中国人であっても、日本に住所があるかぎり、普通に、相続税の節税対策を実行しなければいけないのです。(現在は住所があったとしても、相続が発生したときに、相続人に日本の住所がない場合は、除きます)
それでは、具体的に、どのような方法があるのでしょうか?

例えば、有名な相続税の節税対策として、不動産に投資するという方法があります。
そもそも、1億円の現預金は、日本の相続税法では、1億円の財産と評価されます。
当たり前では?と思いますか?
ところが、この1億円で土地を買うと、相続税法では、路線価で評価してよいことになっているため、8000万円と計算されるのです。あくまで、時価は1億円です。
ただ、これによって、相続財産の総額が下がるので、相続税の節税対策になるのです。
この土地を駐車場として貸し付ければ、賃料収入も稼げることになります。

さらに、1億円の土地ではなく、1億円の建物を買った場合には、どうなるでしょう?
相続税法では、建物を固定資産税評価額で評価してよいことになっているため、約6000万円と計算されます。
もちろん、自分で住んでもよいですし、他人に貸せば、賃料収入が稼げます。
ただ、日本では、中国と違い、土地の所有権が買えるため、建物だけを売っていることは少なく、土地と建物を同時に買う、または、土地を買ったあとに、そこに建物を新築することの方が、圧倒的に多くなります。

相続税の節税対策で、不動産に投資したが、結果的に、財産そのものを減らしてしまう可能性


ということは、土地の価値が高くなる戸建てやアパートよりも、建物の価値が高くなるマンションの方が、相続税の節税効果は高くなります。

  土地 建物 相続税の節税効果
戸建て アパート 広い 価値が高い 木造 価値が低い 効果は低い
マンション 狭い 価値が低い 鉄筋 価値が高い 効果は高い

ここで、気をつけるべきことがあります。
それは、1億円の現預金は、中国と違い、日本は利子率が低いですが、それでも元本と利子は保証されています。
一方、土地は価値が経済の動向によっては、大きく変動します。東京都心の土地であっても、大きく下がることもあるのです。
さらに、建物は、経済の動向とは関係がなく、時間の経過で自然に減価して、必ず価値は下がっていきます。その分の賃料収入が受け取れればよいのですが、空室になったときには、建物だけが劣化して、損をします。
そのため、相続税の節税対策で、不動産に投資したが、結果的に、財産そのものを減らしてしまう可能性もあるのです。
もちろん、日本がインフレになったときには、1億円の現預金よりも、1億円の不動産を所有している方が、絶対に有利になります。
そのため、リスク分散という意味では、現預金と不動産をバランスよく保有すべきとも言えます。

このように、バランスよく、相続税の節税対策を実行したいならば、日本の会計事務所である当社に、お任せください。
相続税の計算だけではなく、不動産投資の収支シミュレーションも同時に行っております。

ただ、あなたが、これを読んで、節税対策なんて簡単じゃないかと考えてはいけません。
ちょっとした知識を使って、節税対策をやると、失敗する例もあります。

例えば、日本の相続税は累進課税であるため、「相続財産の金額」が大きいほど、税率が高くなります。この「相続財産の金額」とは、単純に相続財産を合計したものではありません。法定相続分といって、民法で決められている方法で、相続人ごとに分けた場合の金額を指します。あなたが、中国人であっても、民法が適用されます。

財産の金額をもとに、相続税を計算する

そこで、養子によって相続人を増やせば、1人当たりの相続財産の金額が減り、相続税の節税対策になると、安易に考えてしまいがちです。
ところが、この養子には、いくつもの制限があります。

1つ目の制限は、被相続人、つまり、あなたの父親が日本国籍を持っていないと、養子を入れることができません。養父には、日本国籍が必要なのです。父親が日本進出していても、日本国籍を取得していなければ、この節税対策は実行できません。
なお、あなたが被相続人であり、中国の国籍しか持っていなくても、養子に入ることはできますが、それによって、日本国籍を自動的に取得できるわけではありません。

2つ目の制限は、この養子の数が、相続税法上で決められていることです。

(1) 実子がいる場合には、養子は1人まで
(2) 実子がいない場合には、養子は2人まで

つまり、相続税法上では、養子を無制限に増やして、相続税の節税対策を行うことはできないようになっています。
なお、日本の民法では、何人でも養子に入れることができます。あくまで、この制限は相続税を計算するときだけの制限になります。

3つ目の制限は、相続人として、あなたの子供、つまり孫を養子に入れると、相続税が2割加算になるのです。
簡単に、孫がおじいちゃんの財産を直接、相続できてしまうと、1回分の相続税を飛ばすことになるため、このルールが作られています。そのため、次回の相続税も含めて、計算してみないと、孫が養子になることが、本当に節税になっているのか、分かりません。

そして、4つ目の制限ですが、これが、一番重要です。
そもそも、養子に入れる理由が、相続税の節税対策では、税務署が認めてくれません。
養子に入れることに、合理的な理由が必要です。
例えば、自分を看病してくれた、あなたの妻に財産を渡したい、または、ずっと同居して、死後も墓を守ってくれる孫に財産を渡したい、などです。
節税対策という理由だけで、養子を増やすと、脱法行為として、利子税や延滞税などのペナルティまで課せられてしまいます。
それに、養子に入れることは、相続人を増やすことにもなります。そのことが、相続人間での争いの種になることも多いのです。
結果、養子など入れるべきではなかったと、後悔する人もたくさんいます。
そのため、税務署だけではなく、相続人全員が納得した理由がなければ、養子に入れて、相続人を増やすことは止めるべきです。

相続財産の総額とその種類、相続人の構成により、あなたがやるべきことが、違ってきます。
少しでも相続税について、不安があるならば、ぜひ、当社まで、ご相談ください。もちろん、ご提案は、中国語でも行わせていただきます。

「メールでのお問い合わせは、ここをクリック」電話でのお問い合わせは03-3539-3047 日本語での対応 青木寿幸

当社では、相続税の事前のご提案だけではなく、税務調査の対応も行っております。
今すでに、税務調査が行われていて、困っている中国人の方、もしくは、税務署から指摘されていることが、本当に正しいのか知りたい中国人の方でも、ぜひ、ご相談ください。何となく、誤魔化して、その場を乗り切ることなどできません。

税務署の人を納得させる資料を揃えて、理論的に説明しなければ、税務調査は終わらないのです。
ぜひ、税務調査の対応も、当社にお任せください。